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平成19年12月13日
社会貢献フォーラム「安心・安全な社会を目指して〜社会・地域ができること〜」
【第1部 対談[新井満×山根基世]】

2007年最大のヒット曲のひとつ『千の風になって』の作詞・作曲者であり、自らもこの曲を歌っている、作家で作詩作曲家の新井満さんは、いわば2007年の“時の人”。

『千の風になって』でえられた印税やロイヤリティ収入の一部を投じて、「千の風基金」を設立。

いのちの大切さを説きつつ、平和や環境問題を中心に社会貢献にも積極的に取り組んでいます。

かたや山根基世さんはNHKを代表する女性アナウンサーとして活躍していましたが、この6月に定年退社。同じNHK出身の広瀬修子さんや宮本隆治さんらとともに「ことばの杜」というグループを設立。 朗読や読み聞かせをはじめ、ことばを通して社会貢献活動を行っています。

お二人は、同世代で、番組で何度か顔を合わせたことがあるとのこと。対談も、世間話や2007年に自らに起こったできごとなどを交え、終始なごやかに進みました。

山根: 私が子どものころには、自殺や犯罪につながるような、陰湿ないじめはなかったと思うんですが……。

同じクラスにお金持ちのお嬢さんがいて、おいしいものを食べたとか、高価な物を持っているとか自慢しているのを見て、多くのクラスメイトが「もう、あの子とは口を利かない」なんて言ったりしました。

これもいじめといえば、いじめなんでしょうが、2日か3日もすれば、すっかり忘れて、もとの仲のいいクラスメイトに戻ってしまう。

新井: 陰湿であるかないかにかかわらず、いじめは時代や洋の東西を問わず、どの時代、どの世界にも存在してきました。

いじめを簡単になくすことはできないと思うんですね。私は、いのちの不思議さを説いて聞かせているんです。

自分には自分を生んでくれた母と父がいる。その母や父にも、それぞれ母や父がいるわけですが、これを10代さかのぼると、いまの自分が誕生するためには、1,000人の男女がいた計算になる。20代さかのぼると100万人ですよ。しかも、その100万人の男女が愛し合い、交わることで、初めていまの自分がここにいるんだと。

山根:

自分のいのちは奇跡のようなもの。

新井:

私の母は90歳になるまで助産婦として働いた人で、『常に人は、一人一人それぞれの役割を持って生まれてきている。天才は天才なりの、障害者も障害者としての役割がある。そのことをみんなが自覚し、思いやることで、いじめや虐待は無くなる』

それが母からの教えで、そんな母から私は生命の哲学を叩き込まれたんです。

山根:

いじめや虐待を解決するヒントが、そこにあると?

新井:

基本は愛だと思うんですね。いのちを慈しむ気持ち。

話しは、大ヒット曲『千の風になって』の話題にも……。

すると大サプライズ、新井さんがオリジナルバージョンの『千の風になって』、さらに新曲の『この街で』を熱唱。

満員の聴衆からの熱烈な拍手が会場に響きわたりました。

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新井 満氏プロフィール

作家、作詩作曲家、写真家、環境映像プロデューサー、長野冬季オリンピック開閉会式イメージ監督など、多方面で活躍中。
1946年新潟県生まれ、上智大学法学部を卒業後、電通に入社。在職中はチーフプロデューサーをつとめた。
小説家としては、1988年「尋ね人の時間」で芥川賞受賞。2003年11月に発表した写真詩集「千の風になって」(講談社)と、それに曲を付けて、自ら歌唱したCD「千の風になって」(ポニーキャニオン)は現在もロングセラーを続けている。日本ペンクラブ常務理事として、平和と環境問題を担当。著書多数。近著に「青春とは」(講談社)、「自由訳 般若心経」「自由訳 イマジン」「自由訳 老子」(以上朝日新聞社)、「自由訳 十牛図」(四季社)、絵本詩集「この街で」(PHP研究所)、「ふるさとの山に向かひて」(NHK出版)などがある。

山根基世氏プロフィール

1948年山口県生まれ 。1971年早稲田大学文学部卒後、NHKに入局。女性手帳、ニュースワイド、関東甲信越・小さな旅、はんさむウーマン、土曜・美の朝、新日曜美術館、ラジオ深夜便、NHKスペシャルのナレーションでは、「人体」や「映像の世紀」のシリーズの他、「里山」など多数を担当。
2005年アナウンス室長。2007年NHK退職。現在は、NHKを退職したアナウンサー広瀬修子氏、宮本隆治氏らとともに「ことばの杜」を設立し、「日本のはなし言葉を育てる」という理念の下に、朗読や読み聞かせ、ことばの教育、日本文学の朗読アーカイブスの構築などの社会貢献的な活動を行う。